悩みを整理する / GUIDE
薬剤師の人間関係がつらい時どうする?体制と言動を分けて記録
薬剤師の人間関係の悩みは、業務の分担や人員などの「体制」と、特定の相手からの「言動」に分けて記録すると、誰に何を相談するかが決まります。言動は、日時・場所・言われたこと・相手・見ていた人を残します(厚生労働省「あかるい職場応援団」の案内)。
この記事で分かること
今の職場以外の選択肢を、相談先で確かめる
現在は広告リンク未設定です。リンク先は各社の公式サイトです。掲載基準
業務の分担・体制の問題と、特定の相手からの言動を分けて記録し、相談で伝える事実をそろえる。
パワーハラスメントに当たるかは自分で判定せず、記録を持って社内の相談窓口や総合労働相談コーナーで相談します。患者や家族からの言動は、カスタマーハラスメントの定義(令和8年厚生労働省告示第51号)でも整理できます。カスタマーハラスメントの防止措置は、2026年10月1日から事業主に義務づけられます。
薬剤師の人間関係の悩みを、「体制」と「言動」に分ける
人間関係の悩みといっても、中身は一つではありません。「監査を頼める人がいない時間帯がある」は、人員や分担の問題です。「特定の人から人前で繰り返し強く責められる」は、相手の言動の問題です。
前者は業務の決め方を変える相談、後者は言動の事実確認を求める相談になり、伝える相手も記録する項目も違います。
以下は編集部の整理例で、薬剤師の悩みの多さを調べた結果ではありません。
| 困りごとの例 | 主に記録する票 | 最初の相談先の例 |
|---|---|---|
| 応援を頼める人が決まっていない時間帯がある | 体制 | 管理薬剤師・上司 |
| 疑義照会や薬歴記載の担当があいまいで、自分に偏る | 体制 | 管理薬剤師・上司 |
| 事務スタッフとの業務の境目が決まっておらず、衝突が起きる | 体制(強い言動を伴えば言動も) | 上司・人事 |
| 特定の人から、人前で大声で叱責される | 言動 | 社内の相談窓口・上司 |
| 特定の人たちから無視され、業務の連絡が届かない | 言動(業務の支障は体制にも) | 社内の相談窓口 |
| 患者や家族から長時間の居座りや暴言を受ける | 言動(患者・家族) | 上司・勤務先の報告先 |
二つは重なることがあります。どちらか決めきれない出来事は、両方の票に書いてかまいません。
以下では、厚生労働省のパワーハラスメント防止の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)を「指針」と呼びます。指針は、パワハラの原因や背景に「労働者同士のコミュニケーションの希薄化などの職場環境の問題」もあるとしています。そのうえで、事業主が行うことが望ましい取組に、適正な業務体制の整備を挙げています。
一方で指針は、適正な業務指示や指導はパワーハラスメントに該当しないとしています。ここでいう適正とは、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われるものです。厳しいと感じた指導も、まず事実を書き、判断は相談先と一緒に行います。
薬剤師の人間関係を、体制の面から記録する票
以下は編集部作成の記入票です。相手の性格ではなく、手順・担当・人数で書くと、改善を求める内容が具体的になります。患者を特定できる情報は書かないでください。
| 記録する欄 | 自分の記録 |
|---|---|
| 困った場面(曜日・時間帯・業務) | ____ |
| その時間帯の人数と役割(薬剤師・事務など) | ____ |
| 決まっていること/決まっていないこと(担当・手順・応援の頼み方) | ____ |
| 起きた支障(残った業務、確認できなかったことなど) | ____ |
| 誰に・いつ相談したか、その回答 | ____ |
| 変えてほしいこと(担当・手順・人数など) | ____ |
| 回答する人と回答の時期 | ____ |
改善の申し出が必ず受け入れられるわけではありません。約束だけで改善済みとせず、いつから何が変わるかを確認します。
この票の項目は、転職先を探すときに応募先へ聞く質問にもなります。見学で確かめる方法は職場見学の確認票にまとめています。
薬剤師の人間関係で、特定の相手の言動を記録する票
あかるい職場応援団は、厚生労働省の委託事業のサイトです。総合労働相談コーナーで相談するときは、事実関係を整理しやすいよう、次のことなどを持っていくとよいと案内しています。
- ハラスメントだと感じたことが起こった日時
- 場所
- 言われたことや強要されたこと
- 誰からか
- 誰が見ていたか
以下の票は、この5項目に編集部が確認の欄を足したものです。
| 記録する欄 | 自分の記録 |
|---|---|
| 日時(同じ相手から何回目か) | ____ |
| 場所 | ____ |
| 言われたこと・されたこと(言葉はできるだけそのまま) | ____ |
| 相手と、自分との関係(上司・先輩・同僚・複数人など) | ____ |
| 見ていた人 | ____ |
| そのときの業務と、言動との関係 | ____ |
| 業務への支障(事実として書く) | ____ |
| 残っている資料(メール・チャットなど)と保管場所 | ____ |
| 相談した相手・日付・回答 | ____ |
1件ごとに分けて書き、見たこと・聞いたことと、自分の推測を分けます。勤務先のシステムや書類を持ち出す必要があるかは、勤務先の規則を確かめてください。
記録がそろったら、指針が示すパワーハラスメントの3つの要素と照らすと、相談で伝える事実の抜けに気づけます。
| 指針の要素 | 指針の説明(要約) | 関係する記録の欄 |
|---|---|---|
| ①優越的な関係を背景とした言動 | 抵抗や拒絶ができない可能性が高い関係。上司のほか、業務に必要な知識や豊富な経験があり協力なしには業務が難しい同僚・部下、同僚や部下の集団による行為も例に挙がる | 相手と、自分との関係 |
| ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの | 業務上明らかに必要のない言動や、手段として不適当な言動など。目的、経緯、業種・業態、態様・頻度・継続性、関係性などを総合的に考慮する | そのときの業務、日時と回数、言われたこと |
| ③就業環境が害される | 身体的・精神的な苦痛で、就業する上で見過ごせない程度の支障が生じること。「平均的な労働者の感じ方」を基準とする | 業務への支障 |
指針は、①から③をすべて満たすものをパワーハラスメントとしています。2026年10月1日から適用される改正後の指針でも、3要素の定義の文は変わっていません。
指針は、代表的な類型として次の6つを挙げています。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
ただし、これらは限定列挙ではなく、個別の事案で判断が異なることもあるとしています。
この照らし合わせは、当てはまるかを判定するためのものではありません。指針は、事業主の相談窓口に、パワーハラスメントに当たるか微妙な場合でも広く相談に対応するよう求めています。3つがそろっているか分からない段階でも相談できます。
薬剤師の人間関係に、患者や家族からの言動が含まれるとき
改正法(令和7年法律第63号)が、2025年6月11日に公布されました。これにより、カスタマーハラスメントの防止措置が2026年10月1日から事業主の義務になります。
定義は、厚生労働省の指針(令和8年厚生労働省告示第51号)にあります。この指針は、職場におけるカスタマーハラスメントを、次の3要素をすべて満たすものとしています。
- ①顧客等の言動
- ②業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの
- ③それにより、労働者の就業環境が害されるもの
「顧客等」の例には、施設・サービスの利用者とその家族が挙がっています。
同じ指針は、顧客等からの苦情のすべてが当たるわけではなく、社会通念上許容される範囲の申入れは当たらないとしています。障害のある人が、不当な差別的取扱いをしないよう求めること自体も当たりません。社会的障壁の除去が必要だと意思を表明すること自体も、同じく当たりません。
電話やSNSなどでの言動も含まれ、強い苦痛を与える態様なら1回でも就業環境を害する場合があるとしています。
記録は、言動の票と同じ欄で足ります。ただし、患者の氏名や処方内容など、個人を特定できる情報は私的なメモに書かず、勤務先の報告方法に従います。
顧客などからセクシュアルハラスメントを受けた場合も、自分の勤める会社に相談します。厚生労働省のハラスメント防止のページが、そう案内しています。
カスタマーハラスメントの指針は、事実が確認できたときの配慮の例を挙げています。対応する担当者の変更や、複数人での対応です。
勤務先には、次のものがあるかを聞いておくとよいでしょう。
- 報告先
- 記録の方法
- 一人で対応しないための決まり
薬剤師の人間関係の記録を持って、どこに相談する?
次の表は、記録した票ごとに、相談先の例と相談で伝えることを並べたものです。
| 記録した票 | 相談先の例 | 相談で伝えること |
|---|---|---|
| 体制 | 管理薬剤師・上司・人事 | 困った場面、起きた支障、変えてほしいこと |
| 言動(職場の人) | 社内の相談窓口・信頼できる上司 | 日時・場所・言われたこと・相手・見ていた人 |
| 言動(患者・家族) | 上司・勤務先の報告先 | 同上。個人情報は勤務先の方法で扱う |
指針は、事業主に相談窓口をあらかじめ定めて労働者に周知することを求めています。また労働施策総合推進法は、相談したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。事業主の対応に協力して事実を述べたことを理由とする場合も同じです。
会社に相談しても対応してもらえないときは、厚生労働省は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)への相談を案内しています。
総合労働相談コーナーは、いじめ・嫌がらせやパワハラを含む労働問題が対象です。予約不要・無料で面談か電話で対応し、助言・指導やあっせんも案内しています。窓口の一覧と心の悩みの相談先は、辞めたいときの相談準備にまとめています。
この記事で分からないこと:
- あなたの出来事がパワーハラスメントやカスタマーハラスメントに当たるか(相談先で判断されます)
- 勤務先の相談窓口が実際にどう運用されているか
- 薬剤師の職場で人間関係の悩みがどれくらい多いか(薬剤師に限った公的な統計は、今回確認していません)
- 心身の不調への対処(医学的な判断は扱いません)
薬剤師の人間関係でよくある質問
Q. 厳しく注意されただけでも、パワハラになりますか?A. 指針では、適正な業務指示や指導は該当しません。適正とは、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われるものです。
該当しないと考えられる例には、次のものが挙がっています。遅刻など社会的ルールを欠いた言動を再三注意しても改善されない人に、一定程度強く注意することです。一方、該当すると考えられる例には、他の労働者の面前で大声で威圧的な叱責を繰り返すことが挙がっています。
どちらに近いかは、記録を持って相談先で確かめてください。
Q. 社内で相談したら、不利に扱われませんか?A. 労働施策総合推進法は、相談したことや事実確認に協力したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。不利益を受けたと感じたら、その出来事も同じ票に記録し、総合労働相談コーナーなどに相談できます。
Q. 転職すれば、人間関係の悩みは解決しますか?A. 入職前に人間関係を確かめきることはできません。体制の票に書いた次のことは、応募先に質問できます。
- 応援の頼み方
- 業務の分担
- 相談窓口の有無
相手の言動の問題は、今の職場で相談する選択肢もあります。紹介会社に条件の確認を頼みたい場合は、薬剤師の転職エージェント比較で、依頼できる支援を比べられます。
出典とファクトチェック
出典:6件(台帳ID単位)
ファクトチェック:2026-09-27
次の確認目安:2026-10-04(週次。新版公表・条件変更時は随時)
年次統計は新版公表後3か月以内を更新目安とします。下記は確認できた版であり、未取得の資料まで最新版と保証するものではありません。
出典一覧と確認した版を開く(6件)
- 厚生労働省 — 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和2年6月1日適用】
台帳ID:MHLW-PAWAHARA-SHISHIN
表・項目:2⑴3要素・⑷優越的な関係・⑸業務上必要かつ相当な範囲・⑹就業環境・⑺6類型と該当例/非該当例、4⑴原因や背景、4⑵イ相談窓口・ロ微妙な場合も広く相談、4⑷ロ不利益取扱い、5⑵ロ適正な業務体制の整備
対象:事業主(労働施策総合推進法の措置義務の対象)とその雇用する労働者
時点・期間:現行版(令和2年6月1日適用)。令和8年10月1日適用版(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001701369.pdf)も取得し、2⑴の定義文が一致することを確認
公表日:公式に記載なし(PDFに告示日の記載なし。適用日は令和2年6月1日と表題に記載)
取得日:2026-09-27
確認した版:現行版PDF(sha256先頭 b329452e1bb073c9)。10/1適用版(03b1768daca3e39f)/更新周期:随時(法改正時に改正)定義と例示の要約だけを使用。個別事案の該当性を判断する資料として扱わない。法の条番号は10/1に変わる(現行 第30条の2→10/1適用版の指針では第31条)ため本文では条番号を書かない。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)/法令は国会 — 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)
台帳ID:EGOV-ROUDOU-SHISAKU
表・項目:第10章 第30条の2第1項・第2項(雇用管理上の措置、相談等を理由とする不利益取扱いの禁止)
対象:事業主・労働者
時点・期間:2026-04-01施行版(e-Gov current_revision_status: CurrentEnforced、改正法 令和7年法律第63号)。10/1施行分は未反映の版
公表日:改正法公布 2025-06-11(e-Gov表示)。e-Govの更新日:2025-06-25
取得日:2026-09-27
確認した版:law_revision_id 341AC0000000132_20260401_507AC0000000063/更新周期:随時(改正時)2026-10-01施行分で条番号が変わる見込み(10/1適用版の指針は法第31条を引用)。本文は法律名だけで書き、条番号は書かない。10/1以降に e-Gov の現行版を再確認する。
- 厚生労働省 — 職場におけるハラスメントの防止のために
台帳ID:MHLW-HARASSMENT-TOP
表・項目:表番号なし/カスタマーハラスメント及び求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が事業主の義務となります!、ハラスメントの被害にあった時は、職場におけるパワーハラスメントについて
対象:労働者・事業主
時点・期間:2026-09-27閲覧時点の案内
公表日:公式に記載なし(ページの更新日表示なし)
取得日:2026-09-27
確認した版:取得時の現行ページ(sha256先頭 9d3dc516a7597368)/更新周期:随時定性説明だけを使用。窓口の個別の対応内容は扱わない。
- 厚生労働省(委託事業「あかるい職場応援団」運営事務局) — 相談窓口のご案内|あかるい職場応援団
台帳ID:MHLW-AKARUI-SOUDAN
表・項目:相談窓口のご案内(/inquiry-counter/):総合労働相談コーナーへ持っていく事実関係の項目
対象:職場のハラスメントを相談したい労働者
時点・期間:2026-09-27閲覧時点の案内
公表日:公式に記載なし(ページの更新日表示なし。サイト開設は平成24年10月1日と「このサイトについて」に記載)
取得日:2026-09-27
確認した版:取得時の現行ページ(sha256先頭 7e12e30919c0e79f)/更新周期:随時サイトはリンクをトップページに限るよう求めているため、リンク先はトップページとした(該当の案内は「相談窓口のご案内」)。定性的な案内のみ使用。
- 厚生労働省 — 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第51号)
台帳ID:MHLW-CUSHARA-SHISHIN
表・項目:2⑴3要素・苦情の全てが該当しない・障害者の意思表明・電話やSNS、2⑷顧客等の例、2⑸⑹判断、4⑶ロ配慮の例(担当者の変更・複数人対応)、4⑶ハ記録
対象:事業主とその雇用する労働者
時点・期間:令和8年10月1日施行の改正法に基づく指針
公表日:2026-02-26公布(厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」に記載)
取得日:2026-09-27
確認した版:取得時のPDF(sha256先頭 c4880d689f4012e0)。告示番号はPDF本文に記載なく、掲載ページのリンク名による/更新周期:随時定義と例示の要約だけを使用。薬局の患者に個別に当てはまるかは断定しない(「利用者及びその家族」が例示されている事実だけを書く)。
- 厚生労働省 — 総合労働相談コーナーのご案内
台帳ID:MHLW-SOUGOU-SOUDAN
表・項目:表番号なし/総合労働相談コーナーでは
対象:職場の労働問題を相談したい労働者等
時点・期間:2026-09-27閲覧時点の案内。制度基準日は記載なし
公表日:公式に記載なし(公表日未特定)
取得日:2026-09-27
確認した版:取得時の現行ページ(改訂日未特定)/更新周期:随時定性説明だけを使用。掲載件数・期間等の数値は不採用。個別の法的・医学的判断を示す資料とは扱わない。